CAXの日記(Group::Lightnovel)

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2003-04-30

[][]ザ・スニーカー 2003年6月号 スニーカー大賞大賞受賞者 谷川流インタビュー ザ・スニーカー 2003年6月号 スニーカー大賞大賞受賞者 谷川流インタビュー - CAXの日記(Group::Lightnovel) を含むブックマーク はてなブックマーク - ザ・スニーカー 2003年6月号 スニーカー大賞大賞受賞者 谷川流インタビュー - CAXの日記(Group::Lightnovel)

http://www.kadokawa.co.jp/mag/sneaker/

自分の中にある読者像につっこみをいれるかんじで書いている

――まずはスニーカー大賞受賞おめでとうございます。

ありがとうございます。光栄の極みでございます。

――率直なご感想は?

〝うそ~ん〟て感じですよ。僕の幻覚はとうとうここまできたかと。

――受賞後気持ちとか何か変わったことはありますか? 急にみんな優しくなったとか。

いやぁ、もう誰にも言ってないんですよ、ほとんど。ホンマ誰にも言ってませんね。隠しまくってますからねぇ。他に変わったことと言えば、心拍数が増えたことぐらいかなぁ。2割増しぐらいになってますよ、今。ドキッリドキドキです。なんかの間違いではないのかと今でも思ってますよ。実はあれウソでしたみたいな、大がかりなサプライズパーティではないのかとか。ある日突然なんかメットかぶったおっさんが〝ドッキリ〟とか言いながら来るんじゃないかと。でも、ほんとに、ものすごくありがたいな、と思っています。

――この作品は書き上げるのが、早かったようですね。

確か、3週間ぐらいで書いたと思ってます。阪神がまだ好調なときでした――去年のあのときは。阪神ですか? ファンというよりマニアかな。正味勝っても負けてもいいですよ。勝とうが負けようが、もう空気みたいなもんですから。

――今年の阪神はどうですか?

今年は行くでしょうね。Aクラスはもう堅い。優勝も狙えますね。

――以前は会社勤めをしていたということですが、どんなお仕事をしていたのですか?

婦人服のチェーン店で、店長もどきみたいなことをしていました。ぜんぜんたいしたことしていないんですけどね。

――会社勤めをしながら、いりいろ書きためてたんですね。

特に「書きため」はしていなかったですけど、「考えだめ」はしていました。寝付きが悪いんで、夜寝るときに考えるんです、なんかこんな話みたいなことを。

――時間もできたところで何かちゃんと書いてみようかと。

そうですね。でも、もともと何か書きたかったというのは昔からありました。高校時代にも何か書いていた気がします。友達とかには見せていたかな。評判? 散々たるものだった気がするんだけどなぁ。だいたいちゃんと話が終わってなかったような。

――その当時はどんなジャンルを書いていたのですか?

そのときも学園モノでした。どこか学園モノにノスラルジーがあるんですよね。(学校生活が)こんなんだったらよかったのになぁみたいな。

――聞くところによると大変な読書家で、いろいろなジャンルを幅広く読まれているようですね

そうですね。趣味といったら読書ぐらいなので。勤めていた頃、休みの日になると、まとめて一日中本読んでました。一番多いときで年間で少なくとも、200冊以上読んでいたと思います。

――子供のとき初めて読んだ本は何ですか? これをきっかけに本を読み出したとか。

僕はミステリとSFがめちゃめちゃ好きなんですけど、きっかけというと、学校の図書室になった、あかね書房の「少年少女世界推理文学全集」と「世界SF文学全集」です。それを何冊か読んで、これはおもしろいと。そこからずーっとミステリとSFですからねぇ。小学校の図書室なんか本の数が少ないので、ポプラ社から出ているような「ホームズ」とか「ルパン」とか読んじゃうと、もう読むものがなくなっちゃうんですよ。そうすると次は市立図書館に行って借り倒す感じ。週2日は行っていて、一週間で14冊くらい読んでいたのが最盛期。

――それらの作品に限らず、特に尊敬している作家とか影響を受けた作品というのはありますか?

たぶん100冊読んだら、100冊から影響受けると思うんですけど……強いて言えば神林長平さんは絶対的にはずせないですよね。あと佐藤哲也さんにもすごく影響を受けました。あと朝松健さん。凄まじいインスパイアです。それから新井千裕さんなんかもめちゃめちゃ好きなんですよね。あとは小峰元さんかなぁ。ほんとはあとこれに100人ぐらい続くんですけど、特に言って今思い浮かぶのは、この5名さまですかね。何もかも影響を受けたという人たちで、この人たちみたいんを書きたいなと思ったわけです。パクリって言われなければいいなぁと思ってますが(笑)。

――最近読んでおもしろかった作品は?

ここ数ヶ月はバタバタしてあまり読めてなかったんですけど、その中でもロバート・J・ソウヤーの『イリーガル・エイリアン』(ハヤカワ文庫SF)はめちゃめちゃ面白かったですね。あれは、死ぬほどおもしろかった。あとは乙一さんの『GOTH』(角川書店)ですよね。あれもすばらしかったです。


ハルヒの世界」

――「ハルヒ」の構想はどんなきっかけで?

なんかへんな女がいて、変なことをいきなりしゃべり出すとしたら、どうリアクションするかなぁ……というのが最初にあった気がします。キャラクターが先に生まれて、物語は後から考えた感じです。

――読んでみるとキャラクター設定ですとか、主人公のセリフの言い回しなど、「読む側」の面白さを把握していて、確信的によく計算して書いているなぁという印象を受けたのですが。

そうなのかなぁ。ようするに自分の中にある読者像に語りかける感じだったのかもしれませんけど……、僕はもとからつっこみ人間なんですよ。そういうキャラが書きたかったんでしょう。そうしたら、やっぱりボケ役もいて欲しいなぁと。だから、主人公以外はたいていボケているわけです。

――主人公の「俺」のモノの見方は谷川さんと近いものがあるのですか?

う~ん。それはたぶんまた違う話にはなるとは思うんですけど……ある意味、自分をカリカチュアした部分はあると思われます。あの世界が理想だと考えているのかも知れない。

――それは「萌え系」の女の子が出てくるシチュエーションも含めてですか?

「萌え系」は別にいなくてもいいですけど、「ボケ役」はいて欲しいですね。僕はつっこみなんで、ボケ役がいてくれた方が助かるんですよ。

――作品の中の萌えキャラの〝みくるちゃん〟ですが、選考委員の方々にも大人気で、「好きになっちゃいそう」と評判でした。

そうですか。何でしたら差し上げますよ(笑)。特に意識してああいうキャラを作ったわけではないんですけど。いつもそうなんですけど、キャラクターの設定とかほとんど考えてないんですよ(キャラクターの性格付けを)最初に言ったセリフで決めてしまうみたいなとこはあります。

――それでは書き上げてみたら、いろいろな性格のキャラクターがバランスよく配置されていたという感じですか?

最初に「涼宮ハルヒ」というキャラは極端にハイテンションにしようと思ってたのはあるんですけど、そしたらその逆でローテンションなキャラもいるだろうと思って「長門有希」を作って……だったら中間もいるだろうというような感じですね

――キャラクターを描くにあたって、今までの社会人の経験が役に立っているということはありますか?

う~んどうでしょうね。具体的な人物を想像してということはないんですけど、いろんなパターンの人を見ていると、この娘のこの部分はいいなぁとかはあるわけで……前の職場にはアルバイトの女の子がわんさかいて、見てて面白いやつばっかりだったから、それは非常に役に立ちました。

――ハルヒに漂う「日常の倦怠感の打破」みたいな願望は谷川さん自身にもあるのですか?

う~ん。いきなり空にでっかいシャンデリア型のUFOが降ってきたら面白いなぁ…それこそ、最初に有人火星探査機が火星に降りたらそのとたん隠れていた火星人が「ようこそ!」みたいな。でも、いきなり巨大な隕石が降ってきて、地球が明日終わりますよって言われたら困りますけどね。基本的に超常現象っていうのは否定的なんですよ。「ま、ねえだろ」と思っているんですよ。宇宙人も「いねぇだろ」と思ってるんでしょ、常識的に考えれば。でもいたらどうだろうと考えるのは楽しいことですね。

――ところで、この6月に電撃文庫の方でも作品が出るそうですが、これはどういう経緯でデビューが決まったのですか?

実は、スニーカー大賞に応募する前に、別の作品を電撃さんの方にも応募していたんですよ。そっちは1次選考にもひっかからなかったんですけど、たまたまそれを読んで、気に入ってくれた編集者さんがいて、「別のものを書いてみないか」と声をかけていただいたと。それで書き進めて「いいものができたから刊行しましょう」ということになり、電撃文庫でのデビューが決まりました。そうしたら、その直後に「スニーカー大賞」に決定したと連絡をもらいまして……スニーカー大賞に応募したのが、もう半年も前だったので、すっかり忘れてて……申し訳ないですけど(笑)。

――何か急に人生が転がりだした感じですね。スニーカー編集部でも電撃文庫の編集部でも、別々にコトが進んでいたので、谷川さんから事情を聞いて、驚いたんですよ。だけどせっかくなので、この際、電撃文庫スニーカー文庫共同で盛り上げようということで6月10日同時発売になったんです。

ありがとうございます。僕にとっても本当に驚きの出来事です。何か申し訳ない気分でいっぱいです。

――電撃文庫で刊行される作品は、内容的にはどんな感じになりますか?

それはそれで、また学園モノなんですけど。今回は、はなっからおかしなヤツしか集まってない学校の話で、全員超能力者みたいな話です。でもそこにひとりだけ、何も持っていないヤツがいるという……それが主人公なんですけどね。なんでそいつはそこにいるんだろうという話です。ちなみにタイトルは『学校を出よう!』と言います。こちらも何卒よろしくお願いいたします。

――今後、ライトノベル以外で何か書いてみたいジャンルはありますか?

う~ん、どうでしょうね。SFと本格ミステリですかね。そればっかり読んできましたからね。あと明るい殺人鬼モノとか。それから、バカミスがいいですね。もぅねぇオチがついた瞬間に怒るのを通り越して笑ってしまうみたいのなの。

――そんな小説ですが、谷川さんにとって小説とはなんでしょう?

ひとことで言えば娯楽、エンターテインメントでしょうね。書いていても読んでいても、楽しいものが一番ですね。

――では、最後に読者の方にメッセージを。

う~ん。やっぱり今年の阪神はかなり違う。オールスターまでじゃないぞということですね。毎年言ってますが。

……ありがとうございました。


受賞作は6月10日にスニーカー文庫から刊行予定(イラスト/いとうのいぢ)です。お楽しみに。


ザ・スニーカー 2003年6月号(2003.04.30 発売号) P84・P85 より



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