こころー夢の河辺でー

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2009-03-22

    

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こころ-夢の河辺で-

<前の10日分 

2009-03-13 蛙(89) 編集

 その山の奥深くで、大きな蛙を見たという老人がいる。

 ーありゃあ、恐ろしゅう太かったよ。あの蛙は‥‥えすかったあー

 真顔で話すその人は、義一という土地の古老。きのこ取りの名人と云われたその老人は、秋になると朝早くから、その山のきまった秘密の場所に松茸を取りにいくのを楽しみとしていたが、その日は一本もとれない。

 それで新しい場所を探して、赤松の林が続く急傾斜を、蔦葛を頼りに伝い登っていくうちに、とうとう山の頂きに近い開けた場所に出たそうな。

 あたりは、つぎつぎと谷間から吹き上がる白い霧がたちこめて見通しが利かない。

 傍の石に腰を下ろして、霧の晴れるのを待っていたその時、誰かが老人の名を呼んだそうな。

「ぎいち、ぎいち、義一‥‥」

 はて、と思いながら、あたりを見回すと、ちょうど霧が途切れたあたり、前に突き出た崖の上から、巨大な蛙がこちらを見下ろしてのどを動かしている。

 それは鯨ぐらい大きく、人間をひとのみにするほどだったそうで、肝をつぶして、あわてて逃げ出した老人が、もう一度確かめようとこわごわ振り返ったとき、蛙が口を開けてにやっと笑ったそうだ。

 もともとその老人はひょんきんな性格で、過去にも熊や狼に出会ったとかいうほら話をしたこともあり、また例のでたらめだろうと、地元ではまともに扱われていない。

 老人のことだから、眼の錯覚ということもあるかも知れないし、老耄による幻覚とも考えられるが、その附近の山々に昔からある巨石群のことを、考えあわせたら、大蛙の化物の話も巨石の一つではなかったかと納得がいくことかも知れない。

 話の真偽はともかく、春になったらその山に登ってみて、自分の眼で、蛙に似た大きな石に巡り会いたいものと思っている。

 

(この話は当地方の石神群からの連想です) 

 




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2009-02-23 春(88) 編集

 雑木林の中の、急な崖道を登っていると、突然、耳元で生暖かい息を吹きかけられたような気がした。見ると、傍の大きな樫の樹の幹に小さな穴があいていて、その奥で何やらもぞもぞ動いている。どうやら樹のうろに鳥の雛が居るようだ。

 こんな低いところに巣を造る鳥もいるのかと思って、穴を覗き込むと、赤黒いものがしゃにむに、つぶったままの目ばかり大きな頭を突き出してくる。手を入れて、引っぱり出すと、まだ毛の生えそろわぬ鼠に似て、痩せてなめし革のような裸のからだをよじっている。

 一体この生きものの親はどこにいるのかと、あたりを見回した。こんな低いところに巣を造って、蛇にでも食われたらどうするつもりだろうなどと、ぶつぶつ呟きながら、取り出した生きものをポケットに入れようとすると、

「よけいなことを」 

という小さな声がした。  

 どうも、この生きものが喋っているらしい。

「いま云ったのはおまえか」と聞くと

「おれが蛇に食われようが、おまえが知ったことか」という。

「それは困る、おれは、おまえの危険な状態を見逃すことは出来ないのだ」

「どうするつもりだ」

「家に連れて帰る」          

「よけいなことを」

 連れて帰った生きものは、パンのくずや大根の葉を食べる。まだ自由に動けないので、柱に吊った布の袋の中に入れ、時々糞で汚れた身体を洗ってやる。世話のやけるわりにはわがままな奴で、お湯が冷たいとか、いやな臭いがするとか、エアコンの音がやかましいとかいう。

 生きものは「こんな窮屈なところはもういやだ」と雑木林に帰りたがり、こっちは「いつも文句ばかりいいやがって」と口論ばかりだ。




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kuromura 2009/02/25 19:00

前の写真があまりにお粗末だったので、絵に変えました。かわいすぎて、残酷だと叱られるかな?



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2009-02-14 鮒(87) 編集

 寒い冬の朝、氷が張った堀の中で鮒の兄弟が話している。

「おはよう、今日は寒いね」

「なんだか天井が低くなったみたいだね」

「氷が張っているからね」

「きょうは、鷺はお休みだね」

「鷺はこわいからなあ、子ぶなだったらひとのみだからな」

「でももう、ぼくらは大丈夫だよね」

「いやいや、まだ安心できない、あのひげを生やした鯉ぐらい大きかったらいいけど」

「でも、ぼくらは鯉にはなれないんだろう」

「種類がちがうからね、ああ、やっと陽が射してきた」

「氷が虹色に輝いてきれいだね」

「なんだか、オーロラみたい」

オーロラって見たことあるの」

「いや、雁から聞いたんだけど、北のほうでしかみられない特別な光で、神秘的でそれは綺麗で、空に架かった帯のように揺らめいているそうだよ」

「ふーん、一度見てみたいな」

「でも、そこは、いつまでも明けない朝が続いているような所で、ここから何万キロも離れた場所なんだよ」

「へーえ、でも、行って見たいな」

「遠い夢のような話だよ、しー、ちょっと黙って‥‥‥今、ぴしぴしって音がしたろ」

「何の音だろ」

「きっと、氷が解ける音だよ、陽が高くなったからね、そらもう、岸にほっそりと白い影が映っている。あれは鷺だよ、要心しなくちゃ‥‥」

「ねえ、さっきのオーロラのことだけど」

「もう、そんなことは考えないほうがいいと思うよ、少し泥臭いけど、やっぱり、生まれ育ったこの堀が一番だよ、鮒のおれたちには、こうして何事もなく、ゆったりと腹ひれを動かしているのが、いちばんいいのさ」




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2009-01-22 疑問(86) 編集

 フランスの画家フラゴナールは、「ブランコ」で、花を捧げて庭に寝そべる男爵と、その上で腿もあらわに、大胆にブランコに興じる愛人を描き、さらにブランコを揺する陰気な召使(夫?)を木立の奥に配している。

 私は、生来運動神経が鈍く、学校でも、スポーツが苦手だった。苦手というよりは、人前で走ったり、演技したりということに、どうしても積極的な気持になれない。

 職場でも、職場対抗のソフトボールでも、バレーでも、やれば出来ないことはないのだが、進んで参加したいと思わない。

 多分、失敗して笑われたくない、恥をかきたくないという気持だろうが、もともと他人との間に意識の溝があるのかも知れない。

 他人との間の溝は、小学校時代の二回の転校に原因があると思っている。土地の方言がわからず、気の短い教師からは殴られ、なかなか、高校の頃まで友達もできなかった。

 こんな私が長じてから見た夢で、つぎのようなものがある。

 湖の岸では、若者たちが寝そべりながら、対岸の娘たちを口々にからかっている。湖の向う側では、森の中から伸びた突堤の明るい草地で、若い娘たちが輪になってバレーボールをしており、娘たちを連れて来た教師が、不作法な若者たちに「やめなさい」と手を振って抗議している。

 この夢で当の私はどこにいるかというと、湖の岸辺にぷかぷか浮んだ棺(ひつぎ)の中にいるのだ!

 話を最初にもどす。何故、フラゴナールは、明るく躍動する画面の奥に、その雰囲気を打ち壊すような陰気な男を描かねばならなかったのか。

 この有名な「ブランコ」という絵を見るたびに思う私の疑問である。


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ChartricChartric2011/07/19 02:38I’m not wtorhy to be in the same forum. ROTFL

gyyukfyweergyyukfyweer2011/07/20 03:00XXIctq , [url=http://khhcarydetiv.com/]khhcarydetiv[/url], [link=http://robbtzvgtigz.com/]robbtzvgtigz[/link], http://dpwouggtyrmp.com/

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